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平成18年度 日本理化学協会賞研究論文
< 物 理 > 茨城県立土浦工業高等学校 小林 義行 先生
【研究主題】 ヒートポンプについての実験教材
[選定理由] 地球温暖化対策は、全人類的課題となっている。この問題解決のためには、科学的な理解に基づいた行動を生徒がとれるようにする学習が必要であり、理科教師の重大な使命ともいえる。しかし、現実の物理の授業の中では、科学的理解に基づいたエンジンやヒートポンプの学習は十分に行われていないと言える。この原因としては、授業に都合の良いエンジンやヒートポンプが無く、熱機関については話だけで済まされてしまうことが考えられる。
本研究では、熱機関について実践的に考えさせる教材として、気化液化ヒートポンプから気体ヒートポンプまでを考案し、温暖化ガスの問題、エネルギー効率の問題などの科学的理解をはかる授業実践がなされており、日本理化学協会賞にふさわしいものである。
研究論文・物理
(PDF/567KB)
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化 学 > 前・愛媛県立三島高等学校
愛媛県立大洲高等学校 八木 康行 先生
【研究主題】 生分解性プラスチックの合成方法の研究
[選定理由] 近年、生分解性プラスチックは、化学IIの教科書でも取り上げられるようになり、生徒も、身近な環境問題への意識の向上があり、関心を示す題材でもある。
本研究では、生分解性プラスチックの一つであるポリ乳酸の合成を教材化し、より簡単な合成法を工夫している。さらに、合成した化合物の高分子としての性質、生分解性などを確かめる実験を開発し、生徒に実際に行わせている。
高分子の合成反応は長時間を要し、また、反応性を調べる実験にも時間がかかるが、少人数の選択講座や、化学クラブなどでは十分実施可能である。本実験は、身近に使われている高分子が比較的簡単に合成でき、薬品との反応や地中に埋めたときの変化を実際に観察でき、生徒にとって化学に対する親しみが一層増し、高分子化学分野への興味喚起が期待できる。また、化学は環境に悪いものばかり作り出しているというマイナスイメージを払拭できる。なお、分解性の実験などで、さらに研究の継続、発展も期待できる。
以上の理由から、本研究は、日本理化学協会賞にふさわしいものである。
研究論文・化学 (PDF/434KB)