物理の要約             

コード 分類 テーマ 発表者 内容 補助分類
961101 600 視覚で理解する電磁気の実験 東京都理化教育研究会物理専門委員会 東京都立青山 小林 雅之 他 小学校でも「豆電球と乾電池の組み合わせ」は学ぶが、電気に苦手意識を持つ生徒は多い。「豆電球の明るさ比べ」は中学入試の定番であるが、電池の内部抵抗を考慮すれば正解は異なる。以前に丸暗記した内容との違いに戸惑う生徒も少なくない。電気製品の使用説明書の「危険ですから分解しないでください。」の記述のためか、感電するかもしれないという先入観も強い。そこで、身近な素材を使った、視覚で理解する電磁気の実験を紹介する。
961102 120 鉄道模型のレール上の衝突実験ほか 東京都立世田谷工業 森田 有宏 楽しくできて、複雑な計算をしなくても結論を導き出すことができる生徒実験の工夫を行ってみた。1つは鉄道模型のレール上における衝突実験で、運動量の概念の導入と運動量保存則の確認を目的としたものである。もう1つは、スーパーコンデンサーを用いたもので、コンデンサーの働きを現実に手にとって実感させることと、接続による帯電量の違いを帰納的に生徒に発見させることが目的である。
961103 1600 「文系のための楽しい物理」の実践報告 東京都立清瀬 猪又 英夫 新課程となり、物理を選択科目とする学校が増える中で、「物理離れ」が叫ばれている。その中で、文科系の生徒が選択する物理の授業を、5年以上模索してきたので、その実践報告及び、今年度のプランを紹介したい。又、目指す授業は「楽しい物理」であるが、「何が本当の楽しさか」ということを中心に、いろいろと議論したいと思う。
961104 300 授業実践「手作り楽器コンテスト」 東京都立八王子東 古沢 佑一 他 波動の学習で「気柱共鳴と弦の振動」を取り上げるが、それは学習の知識・理解という側面に片寄り、実在感に乏しく思考を発展させにくかった。そこで、生徒に楽器を作らせることに大きな意義と必要性を感じ、「手作り楽器の製作」を探究活動として取り入れた。ひとりひとりの生徒の多様な能力、特に物理教育の中で欠けているとされている創意工夫を中心とした科学的創造力を高める、評価方法の一層の改善の中で実施することを試みた。
961105 1400 新課程に対応した、岡山での2つの取り組み− 物理実験書の改訂、および、生徒が利用するソフトの開発 − 岡山県立岡山朝日 蟻正 聖登 他 近年、物理選択者が極端に少なくなってきており、岡山県でも例外ではない。そこで、岡山では、次のような2つの取り組みを行った。すなわち、より多くの生徒に興味を持ってもらうため物理実験書の改訂を行うとともに、物理でのコンピュータ利用を積極的に進めるため、この実験書に対応したデータ処理ソフトやシミュレーションソフトなど、生徒の利用できるソフトを開発した。
961106 300 物理概念・物理実験にみられる生徒の理解が困難な場面についての事例研究 愛知県立明和 高田 達男 従来の授業研究では、実験の精度をより高くしたり、新しい実験テーマに挑戦し、実験装置を開発するのが中心であるが、本報告では生徒が物理概念・法則を理解したり、物理実験の結果を理論とつなぎ合わせて理解する際に、困難がみられる様々な場合について、特に研究を集中するべきであると考え、共振・光の干渉・はね返り係数について工夫、開発した教師実験を紹介する。また、理論の基礎についても言及し、今後の開発につなげたい。
961201 1700 非因果的連関の原理としての共時性を利用した超常現象に対する指導 東京都立墨田工業 岡戸 順一 超常体験の獲得を唱えている新しい型の宗教が、若い世代を中心に拡がりを見せている中、本実践では物理の授業に非因果的連関の原理(共時性)の概念を導入することによって、代表的な超常現象である予知現象を科学的な立場からだけではなく、心理学的な立場からも解釈させる指導を行い、非科学的な超常現象に独自の価値感を求めがちな若い世代の意識の変容に対して有効性を持つ指導法を検討した。
961202 220 熱機関の教材化 東京都理化教育研究会物理専門委員会 東京都立青井 金子 雅彦 他 昨年の滋賀大会での発表をふまえ、スターリングエンジンを熱の学習教材として使うことを発表する。もっとも簡単なスターリングエンジンとして、ビー玉と試験管だけで作るものを紹介し、昨年はあまり良い結果が得られなかった p-V 線図を紹介する。これは、圧力計を使わず、一方を水につけたガラス管内の水の位置により、圧力の変化を求める方法である。また、古くからある水飲み鳥が熱現象の教材として便利であることに着目し、これをフラスコなど身近なもので簡単に作る「水を飲まない水飲み鳥」を紹介する。
961203 330 簡単にできる幾何光学の実験 東京都理化教育研究会物理専門委員会 東京都立富士 岡戸 靖一 他 物理TBの光波の分野でレンズが扱われるようになり、幾何光学の学習の重みが増した。ここでは、まず、身近な材料や比較的簡単に手に入れやすい用具を用いた幾何光学に関連する実験で、意外性のある実験をいくつか紹介する。次に、探究活動の例として、写真用カメラやビデオカメラ等で生徒にとって、非常に身近な存在であるズームレンズの実験および工作例を紹介する。
961204 620 ラジコン電磁推進船の製作とその教材化 金沢市立工業 末栄 良弘 塩化ビニール製の船にネオジム磁石12個〜16個で上下に磁界をかけ、長さ180mm、幅3.0mm、厚さ0.5mmの白金板4枚で左右2つのダクトを持つ内部磁場型のラジコン電磁推進船を製作する。電磁推進船の原理を理解するための簡単な実験授業方法に関しては昨年すでに発表(1)したので、今回は、工業高校生が興味と関心をよせるフォトインターラプタや反転ICを使ったリレー回路を用いてラジコン電磁推進船の製作とその教材化を試みたので報告する。
961205 1400 JAVAを用いたネットワークCAI − 物理教材を例として − 三重県立名張西 斎藤 暢久 インターネットサービスの一つであるWWW上のホームページを学習の道具として活用することのできるCAIを試作した。このことによって、インターネットに接続されたコンピュータの中での教材間リンクを可能にするとともに、学習者の意見や質問などから、常に UP to Date が可能になる。試作した教材「街角物理探検」は、ビデオ教材「街角物理(力学編)(1)(波,電磁気編)(2)」に収録した動画素材を活かし、シミュレーションやアニメーションなど、学習に必要ツールをつけ加えた学習ページである。
961206 1400 インターネットで実験レシピ 大阪・四天王寺 檀上 慎二 本校では物理の授業内容の定着を図るため、可能な限り多くの生徒実験、演示実験を行っている。このたび檀上は、本校で行っている実験内容を順次紹介するインターネットのホームページを作成した。 URLは、http://village.infoweb.or.jp/~fwbc3325/phy/physics.htmである。同様の試みは随所でなされており、インターネット上で互いにリンクされている。実験のノウハウをインターネットで交流しあう時代が到来した。
961207 1420 Mathematicaを用いたシミュレーション ― 物理教育への応用 ― 栃木県立栃木 進上 芳雄 数式処理ソフトMathematicaのヴィジュアルな機能を用いることにより、電磁気、原子物理等の分野におけるシミュレーションに応用したところ、生徒の物理への興味・関心が高まった。Mathematicaは数学よりむしろ物理教育への応用の方が、教育的効果が高いのではないかと思われる結果が認められたので報告する。
961301 1410 水中を落下する物体にはたらく抵抗力 愛媛県立松山南 園部 孝行 愛媛県高等学校教育研究会理科部会において開発がされたパソコン計測システムにより、電磁誘導を利用した落下運動実験装置を用いて、水中を落下する物体にはたらく抵抗力を測定した。その抵抗力は速度の2乗と半径の2乗に比例していることが確認されたので報告する。
961302 320 不思議な消音システムの発見とその応用例 東京都立調布北 八木 一正 パイプに熱源を入れて音を出す熱パイプオルガンを教材として製作した。しかし、これは音切れが悪く速いテンポの演奏には極めて不便であった。そこで、これを改善するための試行錯誤の中で偶然新しい消音の原理を発見した。それは、ある特定の長さのビニールホースをパイプに挿入するだけでよいという簡単な方式である。この原理は波動分野の範囲で十分理解でき、生徒に「オレにも出来る」という夢と希望を持たせる格好の題材である。
961303 1600 放射線に関するアンケート調査 北海道札幌開成 鶴岡 森昭 高校1年生の放射線観察実験の指導に際して、5学級で 205名(男子 104名、女子 101名)の生徒を対象に「放射線に関するアンケート調査」を実施した。マスコミによる核関連施設を巡る報道が多いなかではあるが、生徒の放射線に対する興味・関心が低い現状や、放射線に関する知識・理解も乏しいことが分かった。過去に生徒が放射線に関する十分な指導を受けていない結果と思われるが、エネルギー供給問題や地球環境問題を抱えて、生徒への放射線に関する適切な指導の必要性を再認識できた。
961304 110 電車や自動車を動かす力は何か − 摩擦駆動説の問題点 − 元東京都立保谷 飯村 博 他 動輪とレールとの間の静止摩擦力を利用して電車等を前進させる方式を摩擦駆動という。これを解説する諸本は、摩擦力が電車を動かしていると書く。これらの諸本は総じてエネルギーの観点を欠いており、読者に摩擦力が電車に仕事をするという錯覚を与えていると思われる。確かに電車の加速度はこの摩擦力に比例するが、そのことと、「電車にエネルギーを与える力は何か」は別問題なのである。この摩擦力は仕事をしないのだから。
961305 1700 よせなべ物理 埼玉県立吉見 石井 登志男 埼玉理化研の物理研究委員会実験班では、3年前からさまざまな実験を収集し、まとめてきました。委員が自ら開発した実験もあります。また、全国各地の研究会、実験書等で多くの新しい実験が紹介されていますが、研究委員会では新しいものもクラシックなものも、とにかく手に入る情報は手当たりしだい(見境なく)かき集めました。昨年までに約200テーマの実験を収集し、一応の区切りをつけて発行することとなりました。その経過を報告します。
961306 100 生徒の概念形成を考えた運動方程式(2物体)の指導 茨城県立那珂 綿引 隆文 物体の運動や力について、生徒は、さまざまな、そして、強固な先入観をいだいている。それは、運動の法則を生徒が真に理解する上で障害になるが,筆者は、逆に、生徒の抱く先入観を生かした授業展開を工夫してきた。本稿では、その中で、2物体の運動方程式の指導で工夫してきた方法を紹介する。この方法によって、生徒にとって本質がわかり、かつ驚きや感動のある授業に近づけたらと考えている。
961307 100 力のモーメント、摩擦力の実験 千葉県立稲毛 市川 清 力のモーメントや摩擦力の内容を理解しやすいように製作した、簡単な構造の実験器を紹介する。この実験器は生徒に物理現象を考えさせることができるように配慮している。物理学習の最初の単元で基本である力学分野で、生徒たちに興味を持たせることをねらいとしている。
961401 810 探究の過程を重視した「重心」の指導 大阪府立豊島 平野 裕一 生徒が主体的に探究活動を行う条件の1つとして、生徒自身が課題設定を行うことがあげられる。生徒の創意を生かし、様々な形状をした板状の物体の重心を実験によって測定し、理論値と比較しながら探究活動を行わせる。理論値を求める際、形状をデジタル化することに触れ、コンピュータの活用にも目を向けさせる。このような形態の学習活動を指導する際、まず共通の課題を与え、段階的に生徒の個性を引き出す工夫が必要となる。
961402 320 音の指導に役に立つ簡単な実験 東京都立駒場 小野 啓一 新しいカリキュラムで教えるにあたって音の定性的な実験を中心に据えた内容を試みた。試みた実験の大部分は 「Turning the World Inside Out」 Robert Ehrlich著注) に載っていたものを参考にしたものである。そのいくつかを紹介する。
961403 121 落下実験による運動量と力積の関係の確認について 茨城県立日立第一 根本 和昭 従来、記録タイマーによる落下の実験は“加速度
961404 300 波動分野での演示実験の工夫 東京都立荒川工業 土屋 光義 波の性質を理解する入り口の生徒実験として、「ウエイブマシンの製作」がよく行われています。製作のめんどうくささもなんのその、つくった直後はその動きのおもしろさに目が奪われてしまい、いろいろと動かしていますが、製作が悪い班は実験の内容に入ってもよい成果が得られず、しばらくすると、飽きてしまい実験内容から離脱したやり方で遊んでしまうのが現状です。ここでは、誰もが確実に比較的容易にでき、完成度の高いウエイブマシンの製作方法を紹介するとともに、波動分野で生徒が興味をもつ演示実験を紹介します。
961405 100 概念理解をめざした力学の指導方法 東京都立大泉 橋本 道雄 他 生徒にとって物理の概念はなかなか理解しにくい。物理学が“歴史的に
961406 1600 高校生からみた小・中学校理科学習の好嫌 京都教育大学附属 川村 康文 高校生は、小・中学校で習った理科の授業に対してどのようなイメージを描いているのであろうか。今回は、「好嫌度」という、教師に負担をかけることなく学習者の理科学習の実態を浮き彫りにする尺度を開発した。結果、中学校理科では物理離れが深刻なことがわかった。また高校生女子は、化学が好きかどうかによって理科系への進学を決めていることがわかった。
965104 900 自然放射線の飛跡観察用大型霧箱 富山県立富山第一 戸田 一郎 後藤道夫先生(現・明治大学講師)がかつて考案工夫されたドライアイス冷却による拡散型霧箱が広く普及してきた。生活用品の中にみられる放射性物質を入れたり、教材用の線源をいれてその飛跡を手軽に観察することができる。これを一歩進めて、液体窒素冷却による自然放射線の飛跡観察装置を考えた。
966102 900 物理授業におけるラジオ製作 −共振回路の理解を深めるために− 富山県立富山女子 杉木 優子 電磁気学の分野において、共振回路の理解を深めるために、授業にラジオ製作をとり入れた。身近な材料を使って、コンデンサーとコイルをつくり、構造の簡単なゲルマニウムラジオを製作するが、そのひとつの方法を紹介する。