SSISSと協力して

理科を変えてみませんか

 

SSISSとは何か

 「科学技術振興のための教育改革支援計画」というNPOができました。この正式名称は英語ではScientists Supporting Innovation of School Scienceと言い、その頭字語がSSISSです。日本語の略称はNPO理科教育改革支援とも言います。

 

SSISSはどのようにしてできたか

 理事長は筆者(東京大学名誉教授)ですが、筆者の50年に及ぶ科学教育における経験から、子どもに理科に興味を持たせるには、学校理科の中で研究を中心にした授業を行い、研究が成功したときの達成感を経験させる必要があるとの信念から設立されたもので、平成17年7月に都知事の認証を受け、8月に設立の登記が行われました。筆者の呼びかけに応じ、60名余の名誉教授クラスの研究者と10名余の市民が参加して結成されました。

 

SSISSはどんなことをやるのか

 学校から要請があれば、その内容に応じて最も適当と思われる指導者を会員の中から選んで学校に派遣し、研究の指導に当たります。このNPOは大学教授の方が学校の先生よりよく知っているから、生徒に高級な知識を授けるために講師を学校に派遣するというものではありません。むしろ指導者も答えを知らないというのが原則です。指導者がやることは、生徒が持った疑問を解決するために,どのような試みができるかを生徒とともに討議して、問題解決に向かってともにチャレンジしてみようというものです。そしてそのチャレンジによって問題が解決したときの喜びを生徒と分かち合い、生徒とともに成就感を味わってみたいと思っています。

 

どの時間帯に活動するのか

 SSISSは、土曜日でも放課後でも、学校が希望される時間帯に講師を派遣します。特別活動や総合的な学習活動あるいは理科にある探求活動・課題研究の支援を希望される場合にはご指定の時刻に伺います。

 

学校の先生に何を期待するのか

 学校では、生徒達に問題意識を持たせる導入をお願いしたいと思います。テーマはいくつもあっても結構ですが、一つのテーマを追求するグループの大きさは数名程度を希望します。従ってそのようなグループを作っていただくことと探求のテーマを設定していただくことが学校の先生にお願いしたいことです。あるいは、そのようなテーマの設定は難しいとお考えの先生もあるかもしれませんが、最初の授業の時、先生がこういうことをやらせてみようと思われることを投げかけることも可能だと思いますし、「科学の祭典」でやるような実験をお見せになるなら、SSISSの会員が参加して「なぜ」を指摘することも可能だと思います。研究問題の設定はいろいろなところでできるものです。そのテーマは別に大きなものである必要はありません。むしろ小さなテーマの方がやり易いという面を持っていると思います。もし必要なら、テーマは決まっていないけれども、何かやってみたいという生徒達が集まったという段階でSSISSに声をかけて下さい。テーマの選定からご協力ができる可能性もあります。

 その他、先生には、SSISSから派遣する指導者がいない間、生徒が行う研究の指導をお願いすることもあるかと思います。

 

これまでの理科教育に不足していたものは何か

 我が国の理科教育は、高校までと大学とを問わず、結果だけを教えるという傾向が非常に強かったと思われます。つまり,考えるひまがなく事実や理論を記憶したのです。知識はもっているのだけれど、その知識の出所を知らないために、その発展や応用ができないというのが日本の市民の平均像ですが、科学者の独創性が少ないと言われる原因もここにあるものと思われます。SSISSの活動は、これに対して、なぜそのような結論が得られるのかを追求して生徒が自分の考えで結論を出すこととなるので、将来科学者になる人には、独創性が高いとして評価される人をつくる基礎となり、科学者とならない人には、科学における考え方が理解できる市民となるための基礎を作ることができると思うのです。

 

どのような理科教育を狙うのか

 上述の論旨からもお分かりいただけるように、これまでの日本の教育の特徴は、理科教育のみならず、教師が自分の持っているものを生徒に伝えることが中心でした。つまり文化の伝承です。しかし、理科、特に自然科学においては、それでは困るのです。先輩あるいは自分の作り上げた殻を突き破って新しい科学の分野を切り拓いてこそ、科学の進展に対する貢献度が高いとして高い評価を受けることになるのです。いつまでも殻の中に閉じこもっていては、高い評価を受けることができません。SSISSでは、このような能力を子供につけてやるために、教師の都合による教育ではなく、生徒の目線にたった教育を重視しなければならないと考えています。そして、それはまた、理科好きの子供を増やし、科学技術の後継者を確保できるだけでなく、科学技術の支持者を増やす方法でもあると考えるものです。

この際、理科教育に対する考え方を抜本的に改めて、我が国の科学技術が更に振興されるよう考え直してみようではありませんか。

 

 SSISSが掲げるスローガンはなにか

1.                     子供が考える理科

2.                     子供が自ら行動して知識を獲得する理科

3.                     子供が納得して結論を出す理科

 

費用はどれくらいかかるのか

 講師の派遣に必要な旅費や講師への謝礼などはご心配いただく必要はありません。初年度はNPOで旅費を負担し、日当は講師の好意でやりますので無料です。もし初年度の活動が気に入っていただいて、次年度以降も続けようとお考えでしたら、旅費と謝礼とをSPPなどに御申請いただければありがたいと思います。少々の実験材料の費用は、SSISSが負担することも可能です。

 

どのような実践例があるのか

 まだ発足したばかりのNPOですので、正直言って実践例は多くありません。その中から拾い上げれば、岡山市立城東台小学校で行った「元素」に関係した10時間に及ぶ授業の例がありますが、城東台小学校の授業は子供には非常に好評でした。高等学校に関しては昨年度は活動例がありませんでした。今年度に入って千葉県の高等学校3校で活動の要請があり活動を開始しましたが、いずれも生物の課題研究の助言・指導です。物理・化学の分野でも、課題研究や探求活動の助言・指導では有効な活動ができるものと思います。

「考える理科」では,どのような授業をするのか

 具体的な内容はなかなか文章にできません。小学生を対象にした授業の例のビデオ(DVD)が日本理化学協会の事務局にあります。ご希望があれば貸し出しますので、事務局にご連絡下さい。

 

SSISSへの連絡方法

下記のいずれかをご利用下さい。お待ちしております。

178-0063東京都練馬区東大泉5-11-11

大木 道則

電話:03-3924-0244

ファックス:03-5934-2412

e-mail:0354215701@jcom.home.ne.jp

更に詳しい情報が必要な方は下記ホームページをご覧下さい

URL:http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/~inorg/SSISS/

(大木道則記)